A1:
PT、OT、STにより身体機能の回復とできるADLへのアプローチを十分に実施してもらいたい。訓練場面と病棟の生活で、ADLに差が生じてしまうのは仕方のないことだと思います。訓練という環境の中で、最大限がんばってできることと普段の生活の中でできることは違うと思います。
訓練と日常の差を埋めるために、
病棟の実際の生活の中で、できるのかを評価し、できない要因を分析する。その評価は、看護と介護が行いますが、できればPTやOT、STも生活の場面での評価ができると、できない理由を共有しやすいと思います。
それをまた訓練の中で、練習するというサイクルができると、訓練と病棟でリハビリテーションすることの意味をスタッフも患者さんも理解できるのではないかと思います。
実際の生活の中で、できない理由を、患者さんのせいにしないで、評価することが重要だと思います。
やりたいADLとやりたくないADLがあると思うので、医療者がこれができたほうが良いとかこれはできると思って押し付けたものは、生活の中でやらないのかもしれません。
A2:
看護師の評価基準で評価されてしまうということなのでしょうか。
昼間の覚醒の良いときと、夜の動きの悪いときの差をPTはわかっていないとか、NSは何でも危ないから駄目だっていって夜のトイレが自立できないとかいうことでしょうか。
ADLを評価するポイントが明確になっていないことが問題だと思います。
介助が必要な理由と何をどのくらい介助するのか、評価のポイントなどを共有できていないことが多いと思います。
A3:
脳卒中は、ある日突然、これまで普通にできていたことができなくなる病いです。患者さんも何が起こっているかわからずに、戸惑ったり、こんなこともできないと落ち込んだり、混乱されていると思います。やりたくない気持ちを一度受け止めることも大切なのではないかと思います。「今やらないと後悔しますよ」なんて絶対言わない。根気づよく一緒に練習する。それでも駄目なら、生活期につなぐ。家に帰って困ったときに相談できる場所を伝えることをしています。また退院後に訪問する場合もあります。意外と本人が言うように何とかなっていることもあります。
A4:
高次脳機能障害により、注意が悪いとか記憶が悪いと、本人にちゃんとした説明がされていないことが多いです。発症からの時期や高次脳機能障害の程度にもよりますが、まず、患者さん本人を中心として、患者さんが集中して話を聞けるような環境や時間、場を設定して説明することは大事だと思います。経験上、高次脳機能障害が重度でも、こちらが真剣にお話をすると伝わることが多いと感じています。
それでも、本人とご家族の思いが違う場合は、家族の意向を患者に説明したり、患者の意向を家族に伝えたり橋渡しを医療者がして、患者さんと家族が、十分に話し合って決めたという過程を大切にしています。